町屋再生事業 of 上町台地の地域情報紙『うえまち』

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『町屋再生事業』④                               2016年6月号

 まち・すまいづくりとアトリエ・ホロニカでは活力ある大阪の復興のために町屋再生事業に取り組んでいます。
本連載記事では、老朽化して現代生活に適さなくなった木造町屋をいかに再生するか、2月号から紹介しています。最終回の今月は、古い町屋の活用法について説明します。

住吉区の長屋改修プロジェクト 町屋改修の構造計画

古い町屋の活用法

全体構成図.jpg全体構成図 古い木造住宅は古くさいイメージや維持費などの問題から、簡単に取り壊されてしまいがちですが、実は木造建築は改修がしやすく、さまざまな活用方法が考えられます。
まず、自宅として改修する場合、ロフトや吹き抜けを作ってSOHOやセカンドハウス風にすることができ、2軒長屋ならば2世帯住宅にすることも可能。これらはRC造や鉄骨造のリノベーションでは難しい改修の仕方です。
 改修して賃貸物件として貸し出すことも十分に可能です。この場合、実際に住む人が特定されないために、多様な住まい方ができる空間構成とし、予算と将来的な賃貸競争力を照らし合わせて空間のグレードを決定します。きちんと改修した物件は周辺の同規模の新築物件とほぼ変わらない家賃で貸すことができるため、新築と比べて工事費が抑えられるリノベー内観写真.jpgキッチンから中庭を見るションは賃貸にも有効な手段だと言えるでしょう。
 このように、木造家屋のリノベーションは現代社会が求める空間を実現するのに適した手段であり、これからは民泊などの新しい可能性にも適応し得るものです。改修と同時に耐震補強を施せば、災害に強いまちづくりにもなりますね。

住吉区リノベーション長屋 賃貸計画

 このプロジェクトでは、空き家となったご実家を賃貸として改修しています。全体の構成を2DK(母屋)+1(離れ)とし、+1を仕事場や寝室、子供部屋などとして使えるようにすることで、幅広い層の生活に対応できるよう計画しています。また、このエリアでは住宅が密集しており、プライベートな屋外空間は大きな魅力になります。この住宅では中庭を設け、日常に潤いを与える空間となることを期待しています。

内覧会
 この住宅の内覧会を行うことが決定しました。実際にできた空間をご覧いただき、不明点などをご質問いただけます。ご関心のある方は、ぜひアトリエ・ホロニカまでご連絡ください。皆さまのご来訪をお待ちしています。
 6月18日(土)午前10時~午後4時
 アトリエ・ホロニカ 電話06-6775-6024
 Eメール info@hlonica.com
 ホームページ www.holonica.com

『町屋再生事業』②                               2016年4月号

 まち・すまいづくりとアトリエ・ホロニカでは活力ある大阪の復興のために町屋再生事業に取り組んでいます。本紙では、老朽化して現代生活に適さなくなった木造町屋をいかに再生するか、4回にわたって紹介。今号は、木造町屋改修の難点である構造改修についてです。

住吉区の長屋改修プロジェクト 町屋改修の構造計画

長屋プロジェクト.jpg 現在、大阪に残る木造家屋の多くは間口が狭いため単独の建て替えが難しく、構造補強するにも有効な壁を設置しにくいために、地震の横揺れに弱い状態です。また、古い木造家屋で多く用いられているレンガ造やモルタル造の基礎は、地中の湿気を床下にため込んでしまうために、構造の基盤となる土台が腐ってしまいます。主にこれらの2点が「木造=地震に弱い」イメージの原因と言えるでしょう。しかし裏を返せば、これらの弱点を克服すれば新築の住宅と同等の構造強度を持った建築として再生することが可能です。
 本記事でご紹介するプロジェクトの既存家屋もそのような例に漏れず、二間間口で構造壁が不足しており、モルタル造の基礎の上で土台が腐朽していました(写真①)。そこで、構造壁を左右バランスよく配置し(図)、耐力が不十分な既存の基礎の内側に新しい基礎を設けます。この新しい基礎は地中からの湿気対策も兼ねており、床下の通風確保と併せて土台の腐朽を防止します。そして、新設土台と既存の柱を緊結することで(写真②)、地震力が既存柱梁(ちゅうりょう)から新設した土台と基礎を通して地中へとスムーズに流れ、 地震に強い構造ができ上がります。
 このように前時代の造り方で建てられた町屋を、現代の住宅に必要な強度を与えることは十分に可能です。さらには少しずつ作完成図.jpgり変えていくことができる木造建築は、持続可能性を模索している現代社会で新しい建築の姿とも考えられるのではないでしょうか。アトリエ・ホロニカでは現場見学を随時受け付けております。ご相談にもお応えしたいと思いますので、ぜひご連絡ください。

『町屋再生事業』                                2016年3月号

住み手よし、オーナーよし、地域よし それが私たちのまちづくりです

 「古い木造だから…」という理由で、建物の再活用を諦めてしまっている人はいませんか? 一般的に木造住宅は、「古くさい」「地震に弱い」といったイメージがあるようですが、木造でも、安全で快適な住環境を作ることは不可能ではありません。しかも新築するよりローコストで工期も短縮可能。
 NPO法人まち・すまいづくりとアトリエ・ホロニカでは、そのような木造町屋の再生事業に取り組んでいます。現在、大阪にはコスト・地形・老朽化などの問題から空き家となってしまった木造町屋が数多くあり、地域の治安悪化や人口流出などの 原因となっています。私たちは、そのような地域の〝負の遺産〟となりつつある町屋を、現代に生きる私たちの生活に合うように再設計し、見積もり調整・施工・入居者あっせんまで、通してご協力させていただきます。
 本紙では今月号から4回にわたって、木造住宅がいかに生まれ変わるかを、進行中のプロジェクトとともに紹介します。大阪の地域風土を支えてきた木造町屋の再生をご覧ください。

住吉区の長屋改修プロジェクト                 

町家フォト.jpg推定築70年の長屋を賃貸物件として貸し出す計画です。昔ながらの続き間の住宅で、現状では市場競争力が低く、耐震性に不安が残るので、改修して住宅品質を確保することにしました。
 全体計画として、母屋の2階部分は部屋の独立化だけを行い、基礎を含めた1階部分の大規模改修と離れ棟(フリースペース)の確保によって、駐車場・中庭付きの住宅としました。
 今回のプロジェクトでは、敷地境界が確定していなかったため敷地境界の隣地同意から始まり、入居者募集まで長くお付き合いさせていただくことになりそうです。

町屋事業 紹介文.jpg
アトリエ・ホロニカ 一級建築士事務所
電話06・6775・6024 Eメールinfo@holonica.com

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『うえまち』について

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