一心寺広報 of 上町台地の地域情報紙『うえまち』

一心寺倶楽部 事務局長 平田 秀瑞 師
一心寺広報

一心寺日曜学校開講! 法話とエンターテインメント           2016年6月号

一心寺1.jpg 「現代の寺子屋!日曜日の朝、心の門が開く」をキャッチフレーズとする「第16期一心寺日曜学校」が6月26日から開講します。
 毎年6月から翌年3月まで毎月の第4日曜日全10回。午前10時開始で正午まで。前半では落語、講談、音楽、朗読などさまざまなエンターテインメントをご覧いただき、心と体をほぐします。その後、お坊さんによる法話・講話をお聞きいただき、気持ちをリフレッシュしていただきます。一心寺2.jpg
 オプションでは、ボランティア日程、バスツアー日程などもあります。一年の最後に、修了証書と修了記念アルバムをお渡ししています。アルバムには受講生の方が思い思いにつづったエッセイを掲載しています。内容を読んでいますと、それぞれに〝大切な人に対する想い〟が伝わってきます。特に、家族や親しかった友人を亡くされた方からは切実な想いが伝わってきます。その中、「亡くなった人への供養は、明るく元気に暮らすこと」という言葉が目に留まり、思わずハッとさせられました。「ケア(気遣い)」という言葉がありますが、 明るく元気に生きることが亡くなった方への究極のケアかもしれません。日曜学校が受講生の方にとって、どれほどの“ケア”ができているかわかりませんが、少しでもお力になれればと、今期も運営していきたいと思います。
 (一心寺倶楽部 武田寛耕)
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時

http://www.isshinji.or.jp

一心寺日曜学校表.jpg

花まつり お釈迦様の誕生日                         2016年5月号

白象誕生仏(送付).jpg 毎年4月8日は、お釈迦様の誕生日「花まつり」。一心寺では4月1~8日まで三千佛堂の入口に「誕生仏」を安置します。
誕生仏は、お釈迦様がお生まれになった時の姿。童子のお釈迦様が右手を上げて天を指し、左手で地を指す姿、一度は見たことがあるかと思います。仏像としては小さいサイズで、銅製のものが多いようです。お釈迦様は前世で「白象」に姿を変えて、お母さんである摩耶夫人(まやぶにん)のお腹に宿ったという説話があります。それで、堂内には白象の姿も安置しました。春休みということもあり、お子さん連れで参拝の方は「ゾウさんや~」と大きな歓声を上げていました。
 一心寺にはもう一つ、〝いつでも会える誕生仏〟があります。一心寺山門向かいにある、緑の看板が目印の喫茶「緑州」の横脇。こちらは石像で、少し大きめのサイズです。駒札には「お水をかけてお参りください」と書かれています。有名な法善寺の水かけ不動さんを思わせますが、これにもいわれがあります。お釈迦様の生まれた時、天から「甘露」が降り注いだと言われます。甘露はインドでは神々が飲む不死の水を意味します。花まつりでは、その甘露の代わりに「甘茶」をお釈迦様の頭上にか単信庵誕生仏(送付).jpgけるお作法をします。
甘茶(送付).jpg 甘茶は、ユキノシタ科、アジサイの一種で、乾燥させた葉を煎じて作ります。お茶としてはもちろん、天然の甘味料、また漢方としても知られています。あっさりとした口当たり、その直後に広がる甘味。後味は中国茶のような爽やかさがあり、不思議な味です。ただし、煮出し過ぎると苦みが出てしまい、濃すぎると体によくありませんので、ご注意ください。
 最後にもう一つの説話。お釈迦様が生まれた場所はルンビニー、辺りには「無憂樹(むゆうじゅ)」の花が咲いていたと言われます。この木は実在するマメ科の植物で、細長い葉が特徴的です。「沙羅双樹」「菩提樹」と並び、仏教三大聖樹といわれます。日本では温室でのみ生育し、春にかけて花が咲きます。ちょうど今頃咲いているかと思い、いくつかの植 物園に問い合わせたところ、運良く京都宇治市の植物園に咲いていました! オレンジ色の花びらに見えるのは、4つに裂けた萼筒(がくとう)で、そこから8本の雄しべが飛び出しています。花の色は黄色→オレンジ→赤へと変わり、花が散った後にはソラマメほどの大きさの種子ができます。
1605無憂樹の花.jpg宇治市植物公園にて撮影 無憂樹の花をじっと眺めていると、お釈迦様が生まれた場所の情景にも実感が湧いてきました。自分の目で見て味わって、仏様に近づくことも大切だと気付かされました。
 (一心寺倶楽部 武田寛耕)
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

「なにわ人形芝居フェスティバル」~Twenty Anniversary(20周年)~ 2016年4月号

1604一心寺広報 人形フェス(読売提供).jpg写真提供・読売ファミリー 来る4月3日(日)、なにわ人形芝居フェスティバルが開催されます。下寺町~一心寺を会場として、人形芝居を中心にさまざまな街頭パフォーマンスや露店が出る夕陽丘の春の祭りです。阪神淡路大震災の翌年に始まり、今回で20回目を迎えます。
人形芝居は普段テレビで見る機会もありますが、実際に目の前で見ると〝生きている〟かのようなリアルさが伝わってきます。人形の操り方によって、糸繰り式の「マリオネット」、指遣い式の「パペット(ギニョール)」などに分かれ、子どもから大人まで楽しめる幅広いジャンルの人形芝居があります。
 今回は20周年で例年の倍となる20都道府県の人形劇団が参加し、地域色豊かなフェスティバルとなります。例えば、津軽の「金多豆蔵(きんたまめじょ)人形一座」は100年以上続く津軽弁の伝統劇、沖縄の「かじまやぁ」は沖縄文化を伝えて41年のベテラン劇団です。また、千一心寺広報.jpg葉の「ホケキョ影絵芝居」は珍しい影絵芝居、大阪の「桜座一家」は乙女文楽『静御前』の新企画を今回フェスティバルにて初披露するなど、バラエティーに富んだ団体が参加します。
1604一心寺広報 人形フェス4.jpg まずはガイドブックを手にして、どの人形芝居を見るか選んでください。ガイドブックには対象年齢が書かれていますので参考にしてください。上演時間は30~50分程、「フリーパス」(700円・3歳未満無料)で何回でも人形芝居が見られます。下寺町~一心寺エリアで無料の専用シャトルバスが運行していますので、どうぞご利用ください。
 各会場を巡るスタンプラリーも楽しみの一つです。スタンプ20個を集めれば、本部でガラガラ抽選が楽しめます。空くじなし。何が当たるかお楽しみです。(抽選時間は午後3時30分まで)
 フードコーナーもたくさん出店します。一心寺日曜学校のボランティアさんの「極楽うどん」の店はなんと一杯100円! 売り切れ御免にてお待ちいたします。その他、一部の会場では腕輪数珠や香袋を作るワークショップ(要参加費)や音楽ライブも開催されますので、併せてお楽しみください。フェスティバルは午前10時から午後3時30分で雨天決行。皆さまお誘い合わせの上、どうぞお越しください。
 ガイドブックは一心寺三千仏堂にありますのでご利用ください。お問い合わせは「なにわ人形芝居フェスティバル運営委員会事務局」まで。06・6774・2877
                       (一心寺倶楽部 武田寛耕)
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

「真田丸」の史跡を訪ねて~大坂の陣散策マップ~            2016年3月号

大坂の陣散策マップ(送付用).jpg 今年のNHK大河ドラマは、戦国武将・真田幸村こと真田信繁が主人公の「真田丸」です。その影響でしょうか、参詣の方から「茶臼山はどの辺りですか?」「真田幸村の銅像はどこにありますか?」と大坂の陣に関する史跡を尋ねられる機会も多くなりました。
 一心寺では大坂の陣史跡をたどる「大坂の陣散策マップ」を作っていますが、これに加えて、2月初旬に天王寺区役所によって「真田丸顕彰碑」が新たに建立されたので、早速訪ねてきました。
                     ◇
 上町筋から餌差町東の交差点を少し北へ。明星学園グラウンド前に、背の高さほどの大きな顕彰碑が出来ていました。
 向かって右下「五七の桐」(豊臣家)、左下には「六文銭」(真田家)の家紋が特徴的です。正面には、大坂の陣に関する解説とともに 「冬の陣図」「大坂三郷町絵図」(大阪城天守閣蔵)、「大坂冬の陣図屏風」(東京国立博物館蔵)が陶板印刷で表示されていました。
1603一心寺広報 真田丸顕彰碑.jpg 「冬の陣図」を見ると、真田丸が大坂城の外堀からポッコリと半円形に突き出ているのがよく分かります。また、「屏風」を見ると、同じく突 き出した真田丸と寄せ手の軍勢が対峙(たいじ)している様子が描かれています。道行く人も次々に立ち止まり、〝この場所があの真田 丸か…〟と目を凝らしていました。気付けば外国人観光客も加わり、予想以上に関心を呼んでいるようでした。
三光神社幸村像(送付用).jpg 顕彰碑から東へ、三光神社の「眞田幸村公之像」にも立ち寄りました。鹿の角が特徴的な鎧兜(よろいかぶと)と陣羽織。その姿からは、徳川軍を討ち敗る勇ましいイメージが湧いてきます。銅像のそばには「真田の抜け穴跡」。格子戸をのぞいてみると、暗がりの中、細い道が奥の方へ入り組んでいるようにも見えます。
 もう一つの「眞田幸村公之像」がある国道25号沿いの安居神社へ向かいました。兜を脱ぎ、片膝をつき、腰を下ろした姿は三光神社の 銅像と対照的でしたが、境内はにぎわいを見せ、社務所には朱印待ちの列ができていました。
 決してカッコいいとはいえない姿を眺めつつ、他の史跡では見られなかった〝お供え物〟を見つけま安居神社幸村像(送付用).jpgした。銅像傍らの「眞田幸村戦死跡之碑」(大正8年建立)には、水やお茶に加えて、酒だるが並べられていました。宮司さんの話によれば、これらは参拝者がお供えしていく そうです。「人間の本義を貫いた人として多くの人に愛されています」という宮司さんの言葉通り、幸村を慕い弔う人々が後を絶たない様子 でした。
                ◇
 史跡は今回紹介した以外にもまだまだあります。「大坂の陣散策マップ」では、真田山付近の「真田丸コース」、茶臼山付近の「茶臼山 本陣コース」を中心に紹介しています。一心寺三千仏堂に置いてありますので、どうぞ史跡の散策にご利用ください。まだ誰も見つけてい ない発見があるかもしれません。
 (一心寺倶楽部 武田寛耕)
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

「節」に込められた人情 一心寺門前浪曲                  2016年2月号

一心寺広報1.jpg 一心寺前交差点を南へ。突き当たりに「南会所」があります。ここはさまざまな非営利団体の文化事業の会場に利用されています。中でも(社)浪曲親友協会が主催する「一心寺門前浪曲寄席」は根強い人気があります。
 浪曲は、年配の方にとっては親しみのある演芸。逆に、若い方々には聞き慣れないかもしれません。もっとも、語り手である「浪曲師」が登場人物すべてを演じながらストーリーを展開する形式は、落語に通じるものがあり、思わず話に引き込まれる魅力があります。
 その魅力として「歌と音楽」が取り入れられていることが挙げられます。浪曲師は、ストーリーが極まる場面で「節(ふし)」を歌い上げます。登場人物の心情が込められた歌詞、その力強い声に圧倒され、観客の心情も思わず揺さぶられます。加えて、「曲師(きょくし)」と呼ばれる三味線が物語を通じて演奏され、まるで〝和製ミュージカル〟を見ているような感覚です。先日行われた新春初公演で、それを実感してきました。
                         ◇    
 1月9日午後1時、開始10分前には会場は満席。受付の椅子を客席に回すほどの盛況ぶり。養子と養父母の微妙な関係を描いた『神田松』、不慮の交通事故で息子を失った母と 加害者の物語『日本の母』など1席30分ほどの演目が4回。
演台で際立つのは女性浪曲師でした。浪花亭友歌さんは、男性顔負けの迫力でストーリーを展開。曲師の沢村さくらさんの三味線にのせて、子ども、父親、母親、3役をメリハリの利いた「啖呵(たんか)」で演じます。
 親子互いに心を開き、その「溝」が埋まった局面。力と技の込もった“浪花節”があふれんばかりに歌い上げられます。節から伝わるのは、人の人に対する想い。さまざまな経験をされてきた年配の方の心に響いた様子でした。
 浪曲のテーマは「親子の人情」、さまざまな事件を巡って登場人物が本音をぶつけ合う。そこから生まれる義理・人情・心の温かみ。時に共感しつつ、終わった後には、心に〝ほのかな温かさ〟が残ります。一心寺広報2.jpg
 公演後、舞台脇から出口へ向かおうとした時のことです。浪曲師さんのところへ、「私も少し前に息子を亡くしましてな…」と話しかける男性がいました。浪曲師さんは少し驚いた様子でしたが、やさしく男性の話に耳を傾けていました。人情をテーマとするのはホンマもんと感じました。
 浪曲親友協会の中田 萬夫さん(90)は「浪曲のルーツは仏教にあります。慌ただしい世相ですが、浪曲を見て和んでもらいたい。親子の人情は、歴史を越えて、若い世代にも訴えかけるものがあると思います」。次回の一心寺門前浪曲は2月6日(土)~8日(月)、各日午後1時からの予定です。
 問い合わせは、浪曲親友協会(電話06・6771・6682)。

(一心寺倶楽部 武田寛耕)

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

初春にお写経はいかがですか!                                2016年1月号

一心寺広報p.jpg 一心寺写経堂はお正月三 が日も開いています。ご参詣の折少し足を延ばし、心を新たに「初春」のお写経をしませんか。
 写経堂三清庵は、何か異次元の世界へ入ったような、都会の喧騒(けんそう)を感じさせない静寂な空間です。自然と心が落ち着きます。
 「お写経」の手順をご案内しましょう。
 場所は、国道25号を挟んで一心寺の向かい側。山門から信号を渡り右へ。仏具屋さんを通り過ぎてから左へ折れ、10mほど行きます。コンクリート打ちっぱなしのモダンな建物。ハス池にコイが泳ぐ正面玄関を右に入って、まず写経用紙とお手本を購入します。1000円です。履物を下駄箱へ入れ、2階へ上がります。足の不自由な方はエレベーターをご利用ください。
 入り口でお袈裟(お貸しします)をつけ、お香を塗って手を清め、象の形をした香炉をまたいで体全体を清めます。中へ入ると椅子席が並び、正面に金色のお釈迦様が鎮座していらっしゃいます。
 席を決めて座ります。筆や墨をはじめ必要な用具はすべて用意。初めての方には係の者が詳しくご説明します。
 心を落ち着けて墨をすり、お手本を下敷きにして、その上から筆でなぞります。お手本は「般若心経」か、一心寺オリジナルの「祈りと感謝の言葉」のどちらかを選びます。多少緊張すると思いますが、意識を集中させ頑張ってください。普通1時間から1時間30分くらいかかります。
 最後にお写経を納めます。お釈迦様の横のマニ車みたいな「法輪」の中へ入れ、祈りの言葉やお念仏を唱えて銅鑼をボーンと一つ鳴らします。
 これで終了です。少し疲れるかもしれませんが、安堵(あんど)感と充足感に浸ることができます。
                       ◇
 お手本の「祈りと感謝の言葉」に…
 ・私が幸せでありますように、私の親しい人々が幸せでありますよう、生きとし生けるものが幸せでありますように。
 ・私の悩みや苦しみがなくなりますように、私の親しい人々の悩みや苦しみがなくなりますように、生きとし生けるものの悩みや苦しみがなくなりますように。
 ・私の願い事がかないますように、私の親しい人々の願い事がかないますように、生きとし生けるものの願い事がかないますように。
 ・私に悟りの光が現れますように、私の親しい人々に悟りの光が現れますように、生きとし生けるものにも悟りの光が現れますように…とあります。
 シリア難民、テロの犠牲者、世界中で起きた悲惨な出来事に、悲しみ苦しんでいる人々がたくさんいます。私たちの身の回りに起こる災害や事故の犠牲者もしかりです。私たちには直接の支援はなかなかできませんが、「祈り・願う」ことはできます。
 お経を目で読み、書き写すことで仏の教えを感得していただく写経ですが、その功徳によって「祈り・願う」ことはできそうです。
 写経受付は第1日曜日を除く午前9時~午後2時(毎週水曜日と12月28日~31日は休み)。
 詳しくは一心寺写経堂まで(電話06・6774・8700、午前9時~午後4時、水曜日は定休日)。
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

「朗読劇」のコミュニケーション ~一心寺の日曜学校~            2015年12月号

1512提出①.jpg 一心寺の日曜学校(毎年6月~3月の第4日曜日10時~12時開講)では、僧侶による法話と併せていろいろな文化的エンターテイメントをご覧いただいております。その一つに「朗読劇」があります。さまざまな物語を感情込めて語る形式は、通常の「読書」にはないさまざまな効果があります。長年に渡りこの「語り」をずっと読み手を務めている俳優の髙口真吾さんにその魅力について伺いました。
                   ◇
 Q 朗読劇の面白さってなんでしょうか?
 高口 物語を聞きながらお客さん自身がストーリーの情景を作っていくところです。読み手の声が耳に入ってきて、聞き手が頭の中でイメージしていく。これは、今風に言えば結構な「脳トレ」ですよ。
 Q 自分で本を読むこととは大きく違いますか?
 高口 まず、『文字』を『目で見る』ことと、『文字』を『耳で聞く』ことが違いますね。五感の使い方が違ってきます。
 例えば、以前に朗読した坂口安吾の「おならさま」では、主人公がおならをする場面がありました。そこで、“思わず鼻をつまみたくなる様な音があれば…”、そう思って、おならの効果音を作ってみました。聴覚から入った音が嗅覚を刺激する。これは文字を読んでいるだけでは出てこない感覚だと思います。そういった〈仕掛け=音〉を通して、作品と聞き手を〈役者が仲立ち〉する様な感覚。そこには読み手と聞き手のコミュニケーションがあります。
一心寺広報2.jpg Q 『コミュニケーション』という言葉が出ましたが、朗読劇は一方的な見世物ではないということでしょうか?
 高口 どうすれば緊張感を持ってストーリーがお客さんに伝わるか、そのことを考えて仕掛けを作ります。例えば、朗読の途中に、客席に降りてお客さんに接近してみたり、逆に、黙りこんで注意を引いてみたり。いろんな『コミュニケーション』で、一緒に舞台空間を楽しんで もらおうと誘ってみるわけです。
 Q 逆に、お客さん側からのコミュニケーションは?
 高口 お客さんが『笑う』ことはとても大きなコミュニケーションになります。笑うということは「ウケル=受ける」ことだと思うんです。“私は貴方の話を聞いてますよ”という意思表示ですね。お客さんの表情が変わっていくうちに、逆にこちらも励まされて気持ちが変わっていきますね。心と体がリフレッシュする時間を日曜学校で共有したいですね。

     ◇

 今後は夕陽丘ゆかりの作家、織田作之助の作品に挑戦してみたいという髙口さん。現在、日曜学校では年間受講の受付は終了しておりますが、“どんなところか少しのぞいてみたい…”という方には「一回受講」もありますので、一度お問い合わせください。(6月と3月は除く)

 (一心寺倶楽部 武田寛耕)

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

「慈泉処」の10年目            2015年11月号

一心寺広報.jpg  一心寺では毎週木曜日、主に路上生活者を対象としたシャワーサービス「慈泉処」を実施しています。早いもので、今年で10年の月日がたちました。私は開処以来、ずっとこの業務に携わっています。「利用者とどのように接していくべきなのか?」「シャワーを浴びて帰ってもらうこと。それ以上のことで何かできるのか?」。それは10年たった今でも変わらない課題です。
       ◇
 “充実したサービス、施設の設備を整えればいいのではないか?”そう思い、シャワー後に飲んでもらうお茶の温度を季節によって分けました。夏は氷を入れて冷やし、冬は魔法瓶で温かいお茶を用意しました。夏は蚊がひどくたくさん飛んでいるので、待合所にたくさんの蚊取り線香をたきました。脱衣所では冬は寒いからとストーブを用意し、夏は扇風機が使えるようにしました。洗濯して帰る人もいます。丈夫で大きなたらいを用意し、洗濯物が早く乾くように脱水機を設置しました。
 いろいろなことを試しました。少しは何か〈充実〉してきたような気がします。けれどもそれはおそらく錯覚であり、結局は埋まらない利用者との〈距離〉があります。
 シャワーを利用したあとは、利用者それぞれの生活へと戻っていきます。すべての利用者が路上生活をしているわけではありませんので、一概に言うことはできませんが、やはり大変な生活環境です。
1511一心寺広報 慈泉処仏壇.jpg もとより、利用者の生活をすべてサポートすることなど不可能です。正直に、責任を持ってできることは限られています。医・食・住のサポートはすでに経験豊富な支援団体、先達の皆さまがおられます。その中で慈泉処ができること、続けていけること。それは、シャワーを利用してもらい、心身を整え、新たに仕事・社会復帰を目指そうとする人々をサポートすることです。
 私は時々、利用者に声をかけ、どういった経緯でシャワーを利用しているのか聞くことがあります。生活事情や多少の身の上話に及ぶこともあります。けれども話を聞き終わって、力になれるようなことはほとんどありません。むしろ、“自分のことは自分でする”という強い自 立心を持った人がほとんどです。私は「どうぞ、また来てくださいね」と声をかけることしかできません。それでも、利用者のみなさんのサポートになればと、今後も活動を続けたいと思います。
 (一心寺倶楽部 武田寛耕)
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

お誕生日回向               2015年10月号
一心寺倶楽部 事務局長 平田 秀瑞 師

一心寺広報.jpg 一心寺三千佛堂では、皆さんのご寄進により千躰佛を造立、順次お祀りしてご参詣をいただいていますが、一心寺のさまざまな活動の拠点にもなっています。
例えば、日曜学校。
 生徒さんに、毎月1回第3日曜日、礼拝堂で講話をお聞きいただき、エンターテインメントを鑑賞してもらいます。ロビーや2階の集会室は、その時の休憩や交流の場に利用します。受付所兼売店は、千躰佛寄進の申し込み受付、ご参詣案内や夕陽丘散策ガイドのいわゆるコンシェルジェです。ロビーにはワゴンを置いて、福祉施設の作品や一心寺倶楽部  会員のクラフト、一心寺お参りグッズなどを販売しています。
 その他、ヨガ教室、お写経などの活動の案内および情報提供をしています。
 その中で、ちょっとユニークな活動があります。「お誕生日回向」です。
 日曜学校や一心寺倶楽部会員さんに誕生日の登録をしてもらい、毎朝、三千佛堂のお勤めをするときに、「お誕生日おめでとう、仏様のご加護がありますように!」と祈ります。お勤めの時刻は午前9時、早いのにもかかわらず、参加される人も少し増えてきました。
 四恩学園の子どもたちも来ます。
 「四恩学園」は、一心寺境内の南西隣、動物園側にあり、発足当初から一心寺と深い関わりのある福祉施設です。
 園に入所している子どもたちが、毎月第3土曜日の午前9時から、三千佛堂の礼拝堂で「お誕生会」をします。お誕生会といっても、いわゆるプレゼント付きのお誕生日パーティではありません。三千佛堂での朝のお勤めに併せて行っている、「お誕生日回向」に参加しているのです。その月に誕生日を迎える幼児から小学生、中学生が出席します。
 まず、大きな阿弥陀様の前でローソクを浮かべてお供えをし、お勤めに参加します。お経の中でそれぞれ名前が読み上げられ、誕生日を祝い仏様のご加護があるように祈りが捧 げられます。子どもたちと同様に、職員の先生方の名前も読み上げられます。子どもも大人も、自分の名前が出てくると何かうれしいようです。
 「祈りのことば」を一緒に唱えます。
 …私が幸せでありますように。私の親しい人々が幸せでありますように。生きとし生けるものが幸せでありますように。…
 「悩みや苦しみがなくなりますように」「願い事が叶いますように」「悟りの光が現れますように」。自分のことだけではなく、親しい人や生きている全てのもののために祈ります。
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

一心寺「日想観の集い」のご案内     2015年9月号

一心寺広報.jpg 9月お彼岸の最終日26日(土)午後4時から一心寺日想殿広間で「『日想観』の集い」を開催致します。ふるってご参加くださいますようご案内申し上げます。
 「日想観」は、真西に入るお彼岸の夕陽を拝んで、その光の中に阿弥陀仏と阿弥陀仏の国「極楽浄土」のイメージを観察することができる、ありがたい「法会」として古来、一心寺では太平洋戦争米軍空襲によってお寺が全焼するまで毎年のお彼岸に開筵(かいえん)されておりました。一番の座敷の西面を開放して、ほぼ6時の日没に合わせて、歌うような「節付き念仏」の大合唱のうちに、真っ赤に燃える大きな夕陽が水面を揺らせながら六甲の山並みと淡路の山陰の間を「明石海峡」へと沈んで行ったといいます。陽が没して夕闇が広がる静けさの中で「歌うようなお念仏」。その時、私たちは光り輝く阿弥陀仏と極楽浄土の気配を感じ取る事ができたのだとも申しております。
 1000年の昔、救済の浄土教が広がるとともに「うえまち」のここ「夕陽丘」は「日想観」のまさにパワースポットとして当時の近畿圏日本の中で特別の場所とされました。例えば藤原定家とともに「新古今和歌集」の選者の一人であった藤原家隆は、病を宣告された晩年急きょ剃髪出家して京都からこの地へ移り住みました。地下鉄「四天王寺前夕陽丘」駅のすぐ西に滞在した庵の跡が祭られています。この地が「夕陽庵跡」と呼ばれるようになり、明治になって「夕陽丘」の地名になったと言われています。
 9月26日当日は午後3時30分から日想殿会場がオープン。4時より開式。昔の上町エピソード講演。一心寺長老の「日想観」解説に続いて「節付き六字詰念仏」による日想観念仏勤行が約15分間の予定。

(一心寺倶楽部 武田)

 〈お申し込みはこちら〉
 ▽NPO法人まち・すまいづくり「一心寺日想観のつどい」係=FAX(06・6779・7222)、もしくはEメール(uemachi@machi-sumai.com)で、住所・氏名・年齢・電話番号をお知らせください。
詳細は1面をご確認ください。

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

お参りのアカシ、「ご朱印」         2015年8月号

1508一心寺広報 朱印.jpg 昨今「お寺ブーム」だそうです。年配の方はもちろん若い方々も「お寺参り」に関心があるようですね。そこで注目なのが「ご朱印」です。
 「ご朱印」は、もともとお寺にお写経(お経を浄写したもの)を納めた際に頂くシルシであったといいます。それがいつしかお写経をしなくても頂けるようになり、お寺へのお参りのアカシとなったようです。
 近頃では外国の観光客の方にも人気だともいわれます。毛筆で書かれた文字はダイナミックで、一種の美術品のように受け取られているようです。
 ご朱印は、ジャバラ型の「朱印帳」に書くのが一般的ですが、その他にも、「浄衣」、あるいは「掛軸」に書くこともあります。

1508一心寺広報 史蹟.jpgご朱印と言えば、四国八十八ケ所巡り、西国三十三ケ所巡り、が有名ですが、いずれもスタンプラリーのような形式で、各地方のお寺を巡って旅することが基本になります。一心寺は「法然上人二十五霊場」の第七番札所となっております。京都・大阪・奈良を中心に近畿地方に集中しているので、比較的短時間で完了することができると思います。
 さて、一心寺のご朱印はどんなものなのでしょうか? 書かれている文字は?
 まず真ん中には、法然上人と後白河法皇の仏道修行にちなんだ「日想観殿」の文字。右上には「つつしんで拝む」という意味の「奉拝(ほうはい)」。その下には参拝した日付、左下にはお寺1508一心寺広報 納経所.jpgの名前「一心寺」とお書きします。最後に「朱印」を押します。
 一心寺ではこの朱印が3つに分かれています。右側が「圓光大師二十五霊場第七番」、真ん中が仏法僧の「三宝印」、左側が「坂松山一心寺」の文字が刻まれています。
 ちなみに「圓光大師(えんこうだいし)」とは法然上人の尊称、「三宝」とは仏・法・僧、「坂松山」とは徳川家康から拝領したとされる、一心寺の山号です。
 ご友人と一緒にまわる方、またお一人で思いを胸に込めた方、さまざまな方がお参りに来られますが、僧侶から手渡された朱印帳をジッと眺めてそれぞれの思いに浸っておられます。これからの夏休みに向けて、「ご朱印」を頂きにお寺にお参りをしてはいかがでしょうか?

(一心寺倶楽部 武田)

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

ジャカランダとムベと
インドボダイジュ                2015年7月号

一心寺はな.jpg 今年のジャカランダ(写真①)は見応えがありました。まさしく「青い桜」の別名のごとく、パァーッといちどきに咲き、お待ちかねのファンの方々もどっとおいでになりました。一般参詣者も足を止めて「きれいね!」とスマホでパチリ。
 八幡屋公園にもジャカランダがあるらしく、それと一心寺のジャカランダとセットにしたウォーキングが企画。270人もの団体さんもやってくる盛況ぶり。そろそろ散り始めていますが、まだしばらくは楽しめそうです。
 ジャカランダに代わって今度は、ノウゼンカヅラ(②)が鮮やかに境内を彩っています。藤棚の近く、喫茶店「緑州」付近、三千佛堂の南側の壁フェンスに咲き誇っています。
 その一角に「むべ」の木が混じっています。ムベ(③)はアケビ科つる性の木で、4月下旬から5月にかけて淡い黄色の花を咲かせ、10月ごろにアケビのような実(④)をつけます。
 ムベには伝説があります。天智天皇が蒲生野(滋賀県近江八幡市)に狩りに出かけ、8人の男子を持つ健康そうな老夫婦と出会います。その時、その老夫婦にどうすればそのように元気で長生きできるのかと尋ねたところ、この地で秋にとれる果物を毎年食べているからだと言い、それを差し出したそうです。これを食べた天智天皇が「むべなるかな(いかにもそのとおりだなあ)」とおっしゃったとか。その「むべ」がその後、その果実の名称になったと伝えられています。
 もし、10月ごろ一心寺にお参りになる機会があれば、三千佛堂南側壁のフェンスに目を向けてみてください。「むべなるかな」の赤い実を見つけられるかもしれません。
 「菩提樹(ぼだいじゅ)の花は咲いていますか」との問い合わせがありました。ハテさて、ついぞ見たことがないが…。
確認しました。一心寺の菩提樹は「インドボダイジュ」(⑤)です。花は咲きません、というよりはイチジクと同様に実の中に花があります。
 お尋ねの方は、お寺などで咲いている菩提樹の花のニュースを見て、一心寺の菩提樹を思い出されたのでしょう。実は、花が咲くのは中国から入ってきた菩提樹で、木の種類が違います。中国産はシナノキ科、インドボダイジュはクワ科だそうです。
 インドボダイジュは、もともと熱帯の植物で、日本の野外では冬の寒さに耐えられず、枯れてしまうというのが常識なのですが、今のところ、寒さにもめげず健全な状態で冬を越しています。
 この木は大阪で唯一、屋外で育っている貴重なインドボダイジュだそうです。
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

一心寺日曜学校開講!
エンターテインメント&話法         2015年6月号

 「現代の寺子屋! 日曜日の朝、心の門が開く」をキャッチフレーズとする「一心寺日曜学校」は、今期20年目を迎えます。
 毎年6月から翌年3月まで全10回。午前10時から正午まで。前半では落語、講談、音楽、朗読など、古典から最先端までさまざまなエンターテインメントをご覧いただき、心と体をほぐします。その後お寺さんによる法話をお聞きいただき、普段の生活の気持ちをリフレッシュしていただきます。
 「どんな法話が聞けるのですか?」と質問を受けることがあります。これまでの法話のタイトルを少し紹介しますと…
 「私の納得した仏教」「お釈迦様は人間だった!」「法然上人を学ぶ」「お墓~現代のお墓事情~」「日常語となった仏教」etc…。
 いずれもバラエティーに富んだ内容です。法話を聞いた生徒さんはこんな感想をお持ちです。
 「先日手術をして気持ち的に落ち込んでいたのですが、参加して元気が出ました」「広い視野でモノを見たり聴いたりすることができるようになれる気がします」「しかめっ面で教えを説くより、ずっと頭に入りやすいです」。
 一方、エンターテインメントはいつも笑いと喜び、そして人生を振り返る時間になっているようです。ある生徒さんは…。
 「(ハープの演奏を聴いて)主人との思い出に浸り涙が出ました。傍らに主人が寄り添って共に音色を聴き入っているような一時を過ごしました」。
 さて、今期のスケジュールと内容は…。
 ●6月28日(開講式) 住宅正人さんによるちくわ笛の演奏。法話は高口恭行師(一心寺長老・日曜学校校長)
 ●7月26日 露の団姫(つゆのまるこ)さんによる落語。法話は大門俊正師(福井・善導寺住職)
 ●8月30日 高口真吾さんが座長の「日曜口伝隊」の皆さんによる朗読劇。法話は大門師。
 ●9月27日 「音楽劇団てんてこ」による音楽演奏。法話は大門師。
 ●10月25日 「人形劇団ココン」による人形劇。法話は平田秀瑞師(一心寺執事・日曜学校教頭)
 ●11月22日 高口真吾さんによる朗読。法話は安達俊英師(大阪・圓通寺住職)
 ●12月20日 「大阪チェロアンサンブル」の皆さんによる音楽演奏。法話は安達師。
 ●1月24日 フランメンコ集団「tAma.」によるステージ・ショー。法話は平田師。
 ●2月28日 くるくるシルクさんによるパントマイム・ショー。法話は安達師。
 ●3月27日(修了式) 高口校長の記念講話の後、修了証書他の授与。
 現在、年間受講の受付は終了しておりますが、「日曜学校がどんなものなのか少しのぞいてみたい」という方には「一回受講」もあります。一度お問い合わせください。(ただし、6月と3月は除く)

 (一心寺倶楽部 武田)

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

一心寺境内の春らんまん   2015年5月号

1505人形フェスマジック.jpg 「なにわ人形芝居フェスティバル」。
 毎年4月の第1日曜日に、一心寺界隈(かいわい)や下寺町一帯の約30軒の神社やお寺を会場にして、人形劇やアニメーションが上映され、スタンプラリー・ハプニング劇場・バルーンアート・昔遊び・紙芝居・チャンバラ体験などなど盛りだくさんのイベントが行われます。
 この日は、山門から境内・東側の塀沿いなど約20本の桜が一斉に咲き乱れ、まさしく春らんまん、たくさんの子ども連れでにぎわいます。のはずだったのですが、今年の桜は早かった。桜の本領発揮か、アッという間に咲き切って、当日はもう散り始めていました。加えて恨めしい雨が! それでも心待ちにしていた人の列はにぎやかでした。
一心寺の花たち.jpg ソメイヨシノが終わり、4月26日の「納骨供養大法要」が近づくと、本堂横の3本の牡丹桜が追いかけるように咲き始めます。法要に花を添える予定でしたが、ウマイコトイキマセン。もうすでに満開です! でも参詣者は大喜び。咲き誇る花の横で、しきりに記念撮影が行われています。
 境内東側の藤棚には藤が垂れ下がり、寺務所の入り口にはヤマブキの黄色い花。反対側にはビンカマジョールの青い花が咲いています。
 チョット珍しい花もあります。「イペー」。ブラジル国花、4月下旬から5月にかけて咲く鮮やかな黄色い花。国道25号沿いの一心寺の塀越しに際立って咲きます。  
時を同じくして、「ハンカチ」の花。写経堂の入り口付近に、真っ白いハンカチーフのような花が枝いっぱいに広がります。標高1000~2000mの高地に自生する中国原産の落葉樹で、ハンカチが枝にぶら下がっているように見えることからこの名がついたそうです。
 そして「ジャカランダ」。南米原産、2~3㎝くらいの薄紫の花を咲かせます。
 6月初め頃から少しずつ咲き始め、梅雨の間に満開になります。樹の上部にたくさんの花をいちどきに付けます。花の形状が桐の花に似ているせいか「キリモドキ」の別名もあります。
 ブラジル、アルゼンチンやアフリカなど、熱帯、亜熱帯の国で街路樹としてよく植えられて、日本の桜のように親しまれています。また、ハワイでは、日系人が「ハワイ桜」と呼び、日本の桜をしのびながら、ジャカランダの木の下で花見をするそうです。まさしく「青い桜」なのでしょう。
 ジャカランダは境内東側の塀沿いと受付堂(念仏堂)の西側にあります。時期が近づくと、開花を心待ちにしているファンの方から、「咲いていますか」「いつ頃咲きますか」との問い合わせが殺到します。
 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

2014年度 一心寺日曜学校が修了式   2015年4月号

1504一心寺広報1枚目.jpg この3月29日、第14期一心寺日曜学校の「修了式」が一心寺三千仏堂で行われます。
 阪神大震災の直後から一心寺は「日曜学校」を始めました。あの大災害のなかでイザという時には「日頃のキズナ」がものをいうと痛感し、急きょ「日曜学校」を開始して、あっという間に20年たちました。一心寺に参詣される方々に「お寺の行事」と「お寺の楽1504一心寺広報2枚目.jpgしさ」を体験していただける場所としての「絆」、いうなればガッコウゴッコの「日曜学校」ですから、内容は「文化」と「教養」。いわばエンターテインメント&お話、でやってきました。
 6月に開講して10ヶ月・10回を一区切りの「1期」として、次の春3月に「修了証書」をお渡しする仕組みになっています。
1504一心寺広報3枚目.jpg さて、いわばガッコウゴッコなのですが、名前が「学校」、「修了証書」となるとサボリは禁物となるのでしょうか、皆さん驚くほど熱心にご出席いただいています。今期の参加者200人で見ると約70人35%の方は欠席せず全出席の「皆勤」。とかく取りざたされるお葬式や、法事や、お墓の簡略化、つまり「お寺ばなれ」の懸念など「どこ吹く風」1504一心寺広報4枚目.jpgの盛況と言えそうです。思うに「お寺離れ」というのも商店街のシャッター通り化、米作り農家の難儀、あるいは文楽の不人気…などと似て、社会構造の変化に対するお寺の「不適合」ということなのかもしれ ません。日曜学校はたまたまうまくいっているようですが、「世のため人のため」にお寺は何として貢献できるものか…。いやー修了式の「皆勤」で浮かれている場合ではないようです。
 伝統的式典であっても「参加」は喜ばれるようです。修了式典の開幕に合わせて壇上仏前への献灯・献香・献華を「生徒さん」にお願いします。修了証書は無論お一人ずつ仏前でお渡しいたします。校長先生?への謝辞朗読というのもあります。修了に合わせて作られた1年間の記録やお顔写真や思い出アルバム、随筆、などの冊子が編集される…など「願共諸衆生」皆さんと一緒に作り出す「お寺の行事」、「お寺の楽しさ」が、とりあえず満載です。
 これからも何かお役に立つ在り方を模索し続けねば…。そんな一日です。

(一心寺倶楽部 武田寛耕)

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

一心寺「慈泉処」の活動           2015年3月号

1503一心寺広報 慈泉処外観.jpg 一心寺では毎週木曜日、路上生活者を対象としたシャワーサービス「慈泉処」を実施しています。従事しているのは一心寺の若い僧。2人ずつ交代で担当します。「受付」、提供する  タオルやパンツの「在庫管理」、シャワーブースの「準備と清掃」など、「勤行」にはない様々な経験を積む場でもあります。ささやかな活動ですが、2006年のオープン以来、実施回数は実に1503一心寺広報 慈泉処内部.jpg450回、利用者はのべ1万3000人に達しました。
 路上生活の支援といえば、食事を提供する「炊き出し 」がイメージされますが 、 シャワー(お風呂)を無料で利用できる場所は少ないそうです。食べ物と寝るところは確保したけれども、風呂に入りたいなぁ…というニーズは意外に多いようです。
 例えば、最近の利用者はこんな珍しいケース…
1503一心寺広報 慈泉処仏壇.jpg 「ガレージを開放して炊き出しボランティアをしている人がいるんだけど、炊き出しに通っているうちに『一緒に手伝わんか?』と声をかけられたんです。炊き出しの準備をする代わりに“寝どころ”(炊き出し場所のガレージ)を使っていいよと言ってくれたんです。ありがたかったですよ。ただ、トイレはあるけれど、お風呂がないんですよ…だからここはありがたい。今後ともよろしくお願いしますよ」
 昔は安く銭湯に入れたようですが、今は400円以上もするそうです。
 「もし400円あったら、そら、お風呂より食べ物をとるわな…」
 慈泉処は食べ物や住む場所を提供していません。その物足りなさを少し補うために、衣類の無料配布を行っています。衣類はボランティアの方々から提供していただいております。 シャワーを浴びた後、気に入ったものを1着持って帰ってもらいます。
 「こちらで頂いたジャンパー、大事に使っています。宝物のようですわ。」
 利用者にとっては「リサイクル」をはるかに越えた贈り物になっているようです。
 その他、社会福祉法人と連携し、無料で病気の診断と治療を行っています。風邪から高血圧や糖尿病まで、その相談内容は様々です。中でも多いのが、皮膚に関する病気。一度治りかけても、また悪化するそうです。症状がひどい場合は、さらに大きな病院へ移送するなどの処置を行います。ケースによっては、まさに「ライフライン」となっているようです。

(一心寺倶楽部 武田)

 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局、電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

お写経してみませんか           2015年2月号

 一心寺でお写経ができます。
 写経堂三清庵は、国道25号を挟んで一心寺の向かい側。山門から信号を渡り右へ。仏具屋さんを通り過ぎてから左へ折れ、10mほど行きます。コンクリート打ちっぱなしのモダンな建物。蓮池にコイが泳ぐ正面玄関を右に入って、まず写経用紙とお手本を購入します。1000円です。履物を下駄箱へ入れ、2階へ上がります。足の不自由な方はエレベーターをご利用ください。1502写経堂の入り口.jpg
 筆や墨をはじめ必要な用具はすべて用意。いつでもお気軽にご利用できます。初めての方には係の者が詳しくご説明します。
 入り口でお袈裟(お貸しします)をつけ、お香を塗って手を清め、象の形をした香炉をまたいで体全体を清めます。中へ入ると、イス席が並び、正面に金色のお釈迦様が鎮座していらっしゃいます。都市の喧騒を感じさせない静寂、突然の異次元空間、心が引き締まります。
1502写経のお部屋.jpg 席に座り、心を落ち着けて墨を用意。お手本を下敷きにして、その上から筆でなぞります。お手本は「般若心経」か一心寺オリジナルの「祈りと感謝の言葉」のどちらかを選びます。
 多少緊張すると思いますが、意識を集中させ頑張ってください。普通1時間から1時間30分くらいかかります。最後にお写経を納めます。お釈迦様の横のマニ車みたいな「法輪」の中へ入れ、祈りの言葉やお念仏を唱えて銅鑼をボーンと一つ鳴らします。
 これで終了です。少し疲れるかもしれませんが、安堵感とやり遂げた達成感が(?)体に満ちてきます。
1502写経表彰.jpg 写経堂では納められたお写経を次月第1日曜日の月例写経会でご回向しております。また写経会では、写経後、納められた巻数によって表彰を行います。
 納経を通算25巻達成すると、仏様に灯火をお供えする功徳に値するとして「灯献(とうけん)表彰」、48巻でお香の「香献(こうけん)表彰」、108巻でお華の「華献(かけん)表彰」とし、今年は、「華献表彰」を7名、「香献表彰」を17名、「灯献表彰」を18名の方々がそれぞれ受けられます。
 そして、現在までに108巻以上を納経された方は50名。中には500巻を達成された方もいらっしゃいます。
 2月4日(水)三千佛堂において、その表彰式が行われます。「一日写経すれば一日の功徳、十日写経すれば十日の功徳」。さて功徳のほどは?
 ■写経受付は第1日曜日を除く午前9時~午後2時(毎週水曜日と12月29日~31日は休み)。
 詳しくは一心寺写経堂まで(電話06・6774・8700、午前9時~午後4時、水曜日定休日)。
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

一心寺の「いく年、来る年」          2015年1月号

1501一心寺広報 大坂の陣供養.jpg 《いく年》は「大坂の陣四百年供養法会」を執り行いました。
 大坂の陣では約5万人が戦死したとされます。戦渦を逃れて高野山に避難していた当時の一心寺の住職存牟上人は、終戦後いち早く一心寺に戻り、放置されていた戦士たちのおびただしい遺骸を境内に集め、荼毘(だび)に付しねんごろに供養したと言われています。後にその場所に本堂が建てられたとも言1501一心寺広報 智恩時住職.jpgわれています。
 こうした経緯から、一心寺はその後50年、100年ごとの節目には両軍戦士の供養と天下太平を願う供養法会を執り行ってきました。
長い年月の間には、その継続が途絶えていたこともありましたが、今年は大坂の陣から400年。大坂の陣開戦とされる、去る10月1日を吉辰として、その供養法要ならびに関1501一心寺広報 徳川真田両家.jpg連行事が開催されました。
 法要は、徳川宗家第8代当主徳川恒孝氏、並びに仙台真田家当主真田徹氏の来臨を仰ぎ、服部法丸百万遍智恩寺法主ご親修のもと執り行われました。一心寺方丈が「表百」で法要の趣旨を述べ、参加者一同がお焼香。犠牲者を追悼し、改めて平和を祈りました。
 冒頭に、徳川宗家ご当主・真田家ご当主が、ともに相並んでお焼香される感動的な場面がありました。400年の歳月が全てを流し、新たな関係が築かれていることが、目の前に感じられました。
 一方、「茶臼山史跡碑」はこの法要の記念事業として、一心寺ならびに一心寺長老高口恭行が発願・制作し、大阪市へ寄贈。このたび天王寺公園茶臼山に設置建立されたものです。…史跡地であるため、地中の現況保存をはかる地下掘削をしない低い横長の形態。戦国時代の群雄割拠を表す「沸騰して泡立つ」形態。その中から浮かび上がる大きな円満な泰平」の形態。そんなイメージで出来ています。
1501一心寺広報 石碑前.jpg 白い石は中国福建省産の花崗岩。薄赤い円形部分は香川県犬島の錆入り花崗岩です。仕上がり総重量約10t。石の造形作家藤本春紀氏に依頼して制作しました。
 歴史散歩の方々、町歩きの方々にとって、「大坂の陣」を想起する手がかりになってくれることを切に念願しているところです。…(一心寺長老高口恭行)
 史跡のある天王寺公園茶臼山入口は出口専用でした。史跡を見ようにもグルッと回って天王寺駅前の正面入り口を利用しなければなりません。仕方なく、北口の門扉の間からのぞき見するしか方法がありませんでした。が、12月2日から天王寺公園が9時から午後4時30分まで、無料で開放されることになりました。
 素晴らしい! 閉塞感のあった天王寺公園。何やら、突然に無限の明るさが漂い始めました。《来る年》は史跡碑にとっても、公園にとっても、利用する人たちにとっても良い年のような気がします。
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

日曜学校のエンターテインメント      2014年12月号

1412日曜学校コント2.jpg 一心寺の日曜学校は、毎年6月から明くる年の3月まで全10回の講座が設けられています。午前10時から開講で、会場は三千佛堂。前半に落語・パフォーマンス・演劇などの「エンターテインメント」を観賞。後半に僧侶の「仏教法話」をお聞きいただきます。笑って楽しみ、気持ちもほぐれたところで、ちょっと真剣にお話を聞くという流れ。このバランス感がなかなか好評のようです。
1412日曜学校コント.jpg 早いもので、今期も既に半分が過ぎました。そこで、今期エンターテインメントの中でも異色の2組をピックアップしてみたいと思います。
 まず、9月のお笑いコントのセッション。「かのうとおっさん」「スイス銀行」「劇団ガバメンツ」。それぞれ個性的なグループでしたが、お笑いには世代間のギャップなし。初めて見るステージでしたが、随所に織り込まれたネタが大きな笑いを呼び込みました。感想を少し紹介しますと…
 「表情豊かで声も良く通り、アクションも良い」「演技も内容も良く面白かった」「素直に笑わせて頂きました」
 単純に面白かっただけでなく、笑いを「舞台演技の芸術」と捉える皆さんの感想は意外な視点でした。
 10月はうって変わってクラシック曲を中心とした「音楽コンサート」。日曜学校の歌の先生でおなじみの田中雅子さんと髙口由起子さんのユニットでした。
1412日曜学校歌.jpg 緊張感に満ちて始まったのは髙口さんによるピアノ独奏『月の光』(「ベルガマスク組曲」より)。ゆったりとしながらもダイナミックな演奏に一気に引き込まれました。続いてボーカルの田中さんの登場。曲目は『浜千鳥』。懐かしいメロディーに、優しく響く田中さんの歌声が大いにマッチしていました。
 山田耕作作曲『この道』に続いては、客席1412日曜学校ピアノ2.jpgを巻き込んだ二部合唱のセッション。課題曲は『花』(滝廉太郎作曲)。田中さんの指導の下、ソプラノ(高音)とアルト(低音)に分かれての歌唱レッスンが始まりました。よく聞くフレーズですが、アルトパートは少々難しく…。田中さんのフォローも入り、客席の表情も真剣そのもの! 少しずつ完成に向かっていきます。最後は、ゲストと客席の思いが一体となった瞬間、日曜学校のエンターテインメントの醍醐味です。
 再び、ピアノとボーカルの舞台に戻り、『ノクターン作品9―2』『子犬のワルツ』、アイルランド民謡『ロンドンデリーの歌』、武満徹作曲『小さな空』を演奏。参加者からは「来年も聞きたい!」とのアンコールを頂きつつ、大盛況のうちに幕を閉じました。
 今回取り上げたエンターテインメント、
 「演技と笑いで心を動かす」「音と演奏で心を動かす」は、どちらも人間にとって大切なことではないでしょうか。決して派手な演出ではありませんが、誰もが素直に参加できる楽しい時間と空間。一心寺日曜学校はこれからも大切にしていきたいです。(一心寺倶楽部 武田)
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

日曜学校のハイキング           2014年11月号

 一心寺日曜学校では、毎年10月に上町台地・夕陽丘地域を中心としたハイキングを行っています。受講生だけのイベントですが、参加は例年50~60名に達する大所帯です。過去5年間のコースは、
 2013年…一心寺~谷町筋の史蹟めぐり→大阪城
 2012年…一心寺~夕陽丘七坂めぐり→生國魂神社
 2011年…一心寺~真田山公園・三光神社→玉造稲荷神社
 2010年…一心寺~阪堺電車(チンチン電車)に乗って→住吉大社
 2009年…一心寺~空堀の町家めぐり→大阪城
 この他にも旧町家「平野郷」への散策。あるいは四天王寺を散策。境内をスケッチなど、趣向を凝らした内容もありました。
15阿部王子神社.jpg 今年のコースは、約10年ぶりに阿倍野方面へと向かいます。一心寺を出発し、四天王寺、庚申堂(庚申街道)、熊野街道を通って、安倍晴明神社と阿倍王子神社を目指すコースです。よく似た2つの神社ですが…?
 安倍晴明神社はその名の通り、映画やドラマで注目されるようになった陰陽師・安倍晴明が生まれたゆかりの地です。境内にある大きなクスノキがひときわ目を引きます。 一安倍晴明神社のクスノキ.jpg安倍晴明像.jpg方の阿倍王子神社は? そもそも阿倍王子神社の「王子」は何の意味? 「安倍晴明がなんとなく王子様っぽいから…」なんてイメージを持ってしまいそうですが、少し違うようです。「王子」とは別名「御子神(みこがみ)」と呼ばれ、親子関係にある神様のうち、子を意味するそうです。その御子神を祭る場所は、「王子社(おうじやしろ)」と呼ばれ、熊野巡礼の休息ポイントだったそうです。「九十九王子(くじゅうくおうじ)」と呼ばれるほど、たくさんの王子が道中にあったようですが、現在大阪で残っているのは阿倍王子神社だけです。ちなみに、熊野街道は2004年に世界遺産に登録されています(正式な登録名は「紀伊山地の霊場と参詣道」)。なんでも「道」が世界遺産に登録されることは珍しいことだそうです。
 さて、コースも決まった、今年も準備万端! ただし、気になるのは…当日のお天気。近年は、天候不順となることが、しばしば。途中で雨宿りしながら、結局ゴールまで到着できず…という悔しい年もありました。道の混み具合、トイレの場所など様々な状況を想定して “小 田原評定”さながらの話し合いとなります。想定外のことは起こりますが、おかげさまで受講生からは「楽しかった、ありがとうございました」という声をいただきます。今年はどんなことを感じていただけるか、今から楽しみです。  (一心寺倶楽部 武田)
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

茶臼山史跡碑                2014年10月号

史跡碑広報用.jpg …天王寺公園茶臼山に「茶臼山史跡碑」がお目見えしました!…
 ご承知の通り、茶臼山は大坂冬の陣には徳川家康、夏の陣には真田幸村によってそれぞれ「本陣」が置かれ、一心寺・四天王寺やその周辺の地域では激しい戦いが繰り広げられました。
 「冬の陣」。慶長19(1614)年10月初め、大坂城には浪人衆が史跡碑前で.jpg続々入城。米が買い占められて城に運び込まれ、城の外郭防衛線の砦(とりで)や、有名な真田丸などが構築されていきました。約10万人の兵が、難攻不落の大坂城に集結、籠城を始めます。
 一方、徳川方は諸大名に出陣を命じ、約20万の大軍で大坂城を取り囲むように布陣します。城側は徳川軍の陣地となるのを阻むため、上町台地一帯を焼き払います。やがて、家康は本陣を住吉から茶臼山に移し、焼け野原から大坂城が見渡せる場所で城側と対峙(たいじ)。大坂城への一斉砲撃や濠攻めの威嚇作戦を展開します。
 いったんは和議が成立し「冬の陣」は収束するのですが、その後3か月半でまたもや戦の気配が。「夏の陣」です。4月20日ごろには徳川方10万、豊臣方5万の軍勢が再び京阪に集結していました。道明寺では後藤又兵衛、簿田隼人が戦死。若江では木村重成が戦死するなどの前哨戦があって、慶長20(1615)年5月7日、大坂夏の陣の最終決戦となっていきます。
 今回は、現在のJR今宮駅から桃谷駅の間。玉造筋辺りのラインに沿って、攻める徳川方を豊臣勢が迎え撃つ形になりました。この日未明から城方最強の毛利勝永隊4000が天王寺の焼け跡に、真田幸村隊3500が茶臼山に布陣します。一方徳川方は、毛利の南側JR   天王寺駅辺りに本多忠朝隊1000。真田隊の南側、天王寺公園辺りに越前松平忠直隊1万5000などが向かい合いました。正午ごろに天王寺口で戦闘が始まり、全面的な決戦となって敵味方の区別すらつかない乱戦となっていきました。
 この戦では本多忠朝、真田幸村など多くの名だたる武将が命を落としますが、数万とも十万とも言われる数多くの無名の戦士も犠牲になっています。戦渦を逃れて高野山に避難していた当時の一心寺の住職存牟上人は、終戦後いち早く一心寺に戻り、放置されていたこの戦士たちのおびただしい遺骸を境内に集め、荼毘(だび)に付しねんごろに供養したと言われています。後にその場所に本堂が建てられたとも言われています。
隙間から見る史跡碑.jpg こうした経緯から、一心寺はその後50年、100年、150年、200年などの節目には両軍戦士の供養と平和を祈る供養法会を執り行ってきました。今年は大坂の陣から400年。来る10月1日、その供養法要ならびに関連行事が一心寺で開催されます。
 冒頭の「茶臼山史跡碑」は、この法要の記念事業として、一心寺ならびに一心寺長老高口恭行が発願・製作し、大阪市へ寄贈。このたび天王寺公園茶臼山に設置建立されたものです。ぜひ一度ご高覧ください。
 碑は天王寺公園内茶臼山北側にあり、近くの公園専用出口から、フェンス越しですがその様子が伺えます。
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

門前募金…日曜学校のブカツ(部活)! 2014年9月号

1409一心寺広報01.jpg 毎月21日のお大師さんの日。「慈悲喜捨(じひきしゃ)」の心を合言葉に、日曜学校の有志が一心寺の門前で募金活動を行っています。募金箱を手に、胸と背中に一心寺倶楽部のゼッケン、頭には網代笠(あじろがさ)というスタイル。
 参詣者の皆さんから頂いた募金、いわば「お布施」を支援先へ橋渡し。募金活動という自らの行いで施1409一心寺広報02.jpgす、いわゆる布施行の一つ「身施(しんせ)」です。  
 しかしながら身施行も決して楽ではありません。人の前に立って声をかけるのは気恥ずかしく、緊張して「募金お願いします」がなかなか言い出しにくい。天候に苦しめられることもある。「雨にも負けず、風にも負けず」。寒いときはカイロを腰に巻き、暑いときは冷えピタのお世話になりながら頑張ります。
1409一心寺広報03.jpg 現在は東日本大震災で損壊した墓地の復興支援や、その地域の生活支援活動を応援しています。
 石巻のあるお寺。187人の檀信徒が犠牲になり、辛うじて本堂は残ったけれども、境内やお墓は無残な姿に。住職は、地域の中にあるお寺が、人々の心のよりどころとして支え合う場としての復興を願い、懸命の努力を続けられています。お寺が発行する寺報にこんな記事がありました。時には、お墓も心のよりどころになるのかもしれません。
 …寒い日だった。乱雑に重なり合った墓石の前で、しょんぼり立つ人に会う。この人、70歳になったかなぁ。
1409一心寺広報04.jpg 「ああ、これからどうすればいいのだ。女房や息子たちや孫の代りに、俺が波にさらわれれば、イガったのに。俺ひとり残っていて、どうにもなんねぇ。死にてぇ」
墓石に向かって、くどいているか、私に問いかけているのか。黙って聞く。
 「あんたドゴでは、みな助かったって聞いた。運がイガ(よか)ったのだべな」。
 運が良かった―。返す言葉はすぐに見つからない。全身を覆う深い悲しみの思いを、一挙に吐きかけられたような、言葉の重さを感じる。この人の目を見つめた。大粒の涙。
 私は手を合わせた。低い声で、なーむ・あーみ・だーぶ。なーむ・あーみ・だーぶ。この人は、私に解決策を求めたわけではない。胸の内を聞いてほしいのだと、私は受け止めていた。きっと自分で考えを整えて、答えを見つけるにちがいない。
運か。山門を覆うがれきを目にする間もなく本堂左脇の墓地に飛び上がり、どうにか逃げ切れた私。人知の及ばぬ、なりゆき。
 「あんただけが生き残って、お墓に来たのは、亡くなった人たちに呼ばれたからだよ。死んでしまった無念の想いを、少しでも晴らしてほしい。安らかにしてほしいって、亡くなったご家族は願っておられる。ご家族の一人ひとりの名前を呼ぶ気持で、なーむ・あーみ・だーぶ=仏さん救って、守って!って一緒に」
 この人の祈りの声が、静かに墓地に広がる。…
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

「星に願いを…2014!」…一心寺七夕さん2014年8月号

1408一心寺ハルカス.jpg ……笹(ササ)の葉さらさら、軒端に揺れる、お星様きらきら、金銀砂子…。
 ずいぶん昔の懐かしい思い出。8月7日いわゆる旧暦の七夕の日は、隣近所それぞれが軒先に七夕飾りを立てました。軒の上から、はみ出るような大きな笹に、色紙で作った飾りや願い事を書いた短冊を、こよりでくくりつけます。朝露ですった墨を使うと願い事がかなうと教えられ、こよりの巻き方も習い、1408一心寺山門.jpgもどかしい手つきで飾り付けました。夕方の涼風に、笹の葉はまさしくサラサラと軒端に揺れました。七夕物語を聞いて、天の川の位置や織姫と彦星の見える場所を確認し、何か起こるかもしれないとワクワクしながら暗くなるのを待ちました。
 今は太陽暦で七夕を行うため、梅雨空にはばまれて1408一心寺笹飾り.jpg天の川も織姫も彦星も、何も見えないことが多いのですが、星空へ託す願いは不変かもしれません。
 今年も、7月4~7日まで一心寺「七夕さん」を行いました。もう9年目になります。山門横の茶所の前に7本、三千佛堂と一心寺シアターの前に4本の七夕飾りの笹を立て、「星に願いを…」と称して、参詣の方々に短冊に願い事を書いて笹につるしてもらおうというものです。
 5000枚もの願い事が、タワワに実る果実のようにつるされました。
 七夕のラブロマンスにあやかって、「会いたいね、夢でもいいから○○へ」「今年こそは□100□さんと結ばれますように」「△△に良縁がありますように」などの願い事が。1408一心寺01.jpg
 やはり最も多いのは、病気や怪我の平癒・家族の健康と安全。「腰痛がこれ以上悪くならないように」とか「□□チャンのアトピーが治りますように」「家族みんなが、健康で暮らせますように」などなど。
 必死の願い事、「○○、どこにいてるの、みんな心配しています。一日でも早く、バーバに連絡ください」「ママも仕事がんばれますように」。必ずあります、「三億円、当たりますように」。
 さすが一心寺の七夕さん、特徴的なのが亡き人へのメッセージ。お骨佛にお参りされたのでしょう、「お母さん、会いに来ましたよ」「ありがとうございました。みんなのことこれからも見守ってください」。
 さらに七夕へもグローバル化の波が。願い事が英語で、中国語で書かれています。何語でしょうか、アラビア語風の文字も。
 皆さんの「願い事」は7月8日三千佛堂でご祈願いたしました。
 …「私の願い事がなかいますように」「私の親しい人々の願い事がかないますように」「生きとし生けるものの願い事がかないますように」…
 来年は、「○○さんと結婚できました」とか「ホンとに当たりました、三億円」という短冊が見られたら、やる気が出ますね!
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時

http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

一心寺日曜学校開講!           2014年7月号

1407一心寺広報長老02.jpg “現代の寺子屋! 日曜日の朝、心の門が開く”をキャッチフレーズとする「一心寺日曜学校」は、今期19年目を迎えます。
 毎年6月から翌年3月まで全10回。午前10時から正午まで。前半では落語、音楽演奏、朗読など各種エンターテインメントをご覧いただき、心と体を解(ほぐ)します。後半では僧侶による法話をお聞きいただき、普段の生1407一心寺広報01観音jpg.jpg活の気持ちをリフレッシュしていただきます。
 長年受講している方、今期初めて受講される方、キャリアは様々ですが、皆さんどのような感想を持たれているのでしょうか? これまでのアンケートから少し振り返ってみたいと思います。
 「はじめて受講させていただき人の多さに驚きました。一心寺三千佛堂勤行式のご本も初めてで、とても分かりやすく記されているので興味深く、また講師先生の講話が楽しみです」
 「小劇団の皆さんの劇はとても楽しく大笑いさせていただきました。笑うということはとても大事なことだと思うので1407一心寺広報講和3.jpg良い勉強になりました」
 「人の生と死に向き合いながら、それでも心を立て直していく力が音楽にあると思えた。ヨーロッパ文化、特にケルト文化の豊かな音色はヒトとしてのエネルギーがあふれ出し、時空を超え、人々の生活に根付いていく生命の音色を体感した心が振動し、感動の涙があふれ出してきた」
 さて、日曜学校の今後のスケジュールと内容は…
 ●7月27日 髙口真吾さんの朗読。法話は大門俊正師(福井・善導寺住職)
 ●8月31日 アイリッシュハープの演奏、大門師の法話。
 ●9月28日 3グループによる爆笑コント、大門師の法1407一心寺広報4.jpg話。
 ●10月26日 日曜学校の歌の先生による歌唱、安達俊英師(圓通寺住職)の法話。
 ●11月23日 腰掛タップダンス。法話は今期から初登場の平田秀瑞教頭(一心寺執事)。
 ●12月14日 のこぎりオーケストラによる演奏、平田教頭の法話。
 ●1月25日 髙口さんの朗読、安達師の法話。
 ●2月22日 五笑会による狂言、安達師の法話
 ●3月29日(修了式)髙口校長の記念講話の後、修了証書他の授与。
 現在、年間受講の受付は終了しておりますが、「日曜学校がどんなものなのか少しのぞいてみたい」という方には「1回受講」の制度もありますので一度お問い合わせください。(ただし6月と3月は除く)
 (一心寺倶楽部 武田)
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

一心寺の七夕さん       7月4~7日(7日は3時まで)
 山門横の茶所の前と三千佛堂前に大きなササ飾りが設置され、参詣者は短冊に願い事を書いて自由に飾り付けることができます。期間が終わると、参詣者の「願い事」は三千佛堂で祈願されます。 ▽問い合わせ=一心寺倶楽部事務局 電話06・6774・2500

ページの先頭へ

慈泉処の春秋                  2014年6月号

P1050396web.jpg 一心寺「慈泉処」。路上生活をしている、いわゆるホームレスの人々に対して週1回、木曜日午前11時から午後2時30分まで、無料シャワーサービスや無料診療サービスを行っています。
また、求めに応じてパンツやシャツなどの下着や靴下などを配布しています。冬季には、一心寺日曜学校の生徒さんや参詣者からご寄付いただいた、防寒用の衣類を配ります。datuijo2web.jpg時々カイロなど防寒グッズも。
 受付の順番表配り、シャワーブースや診療室への案内などを担当している若い僧侶が、利用者との対話ややり取り、色々な出来事を「慈泉処便り」としてまとめて一心寺ホームページに掲載しています。
 今回はその中から「衣類配布」の様子をご紹介します。
 …10月17日(木)晴れ・利用者43人100_1086web.jpg 慈泉処も衣替えの季節。期日は決まってはいませんが、寒くなってきたと感じたら冬用の衣類を提供します。急に冷え込んできたので、厚めの衣類を出して並べると、シャワーの順番待ちをしていた人たちが一斉に衣装ケースの周りに殺到します。一人1点なので、選ぶのも大変です。服やズボンの色・型・好みに合わせて…まるでバーゲンセール。
 …11月28日(木)晴れ・利用者41人
待合所は、冬の間、覆いをしていますが、風が強いと隙間風が吹き抜けます。暖かい時は、洗濯をする人やベンチに座り雑談する人でいっぱいなのに、今は順番を待っている人のみが座っています。皆、シャワーから出るとすぐ帰って行きます。その分、脱衣所での会話が増え、なかなか表に出て来ません。配布している防寒グッズは、靴下やカイロ、厚手の上着などがよく出ます。まだまだ寒くなります。お大事に。 
 …4月11日(木)晴れ・利用者45人
 慈泉処では、シャワー用に毎回タオルを用意しています。
 常連さんの中には、「前にもらったから、今日はそのタオルを持ってきました。」と言う人が多くいます。暖かくなると、使ったタオルを洗濯して持ち帰る人も増えます。しかし中には、使ったタオルを捨てて帰る人も…。まだまだ、使うことができるのでこちらで洗濯し再利用しています。常に生活用具を持ち歩く路上生活には、使い捨てが一番便利なのでしょうが?
 …5月1日(木)晴れ・利用者41人
ふと気づけばもう5月です。つい先日まではカイロが欲しいと言う利用者もいましたが、今はゼロ。利用者に提供している下着類も、一番人気であった「靴下」を抑え「シャツ」が人気となりました。
 ごく普通の半袖の白いシャツです。中には色や形に注文を付ける人もいます。でもありません。ここには、1種類しか用意していません。…
 他のものが欲しかったら自分で買いなさいと言いたいところですが、思いはソレゾレ。色々な人が慈泉処を通り過ぎていきます!
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

インドボダイジュ                2014年5月号

インドボダイジュweb.jpg 一心寺境内に少し珍しい木があります。日想殿の入り口に植わっている「インドボダイジュ」です。
 この木は2000年頃、大阪府立大農学部の先生がご来寺になり「インドボダイジュを境内に植えませんか」と寄贈下さったものです。ボダイジュも色々あるけれども、本物の「インドボダイジュ」はあまり見ないとのこと。ご自宅の庭に植えてあったものをお持ち下さったようです。
 当時の樹木の高さは大体2m50㎝。2009年まで毎年、12月から春の彼岸までパイプとビニール膜で温室を作って防寒対策を施しながら育ててきました。ある日、次のようなメールが届きました。
 …昨年(2013年)6月にジャカランダの花を見に行きましたとき、大きなインドボダイジュが植えられているのに気が付きました。うかつなことに、2011年にやはりジャカランダの花を見に行ったときはそっちに気を取られて全く気が付きませんでした。(中略)インドボダイジュはもともと熱帯の植物で、日本の野外では冬の寒さに耐えられず枯れてしまうというのが常識なのです。しかし兵庫医科大学(西宮市武庫川町)に1981年に植栽されたインドボダイジュが、30年以上も経ってなお枯れず、それどころか建物の5階に達するかと思われる高さにまで大きく育っており、同じように10m近くまでに育っている一心寺のインドボダイジュの生育経過についても、色々知りたくなりました。…
八重桜01web.jpg メールの主は、くしくも12年前まで同じ大学の農学部に勤務されていた佐藤治雄先生。造園学の研究室に所属し、授業では植物生態学などの講義を担当していたそうです。大阪の野外で大きく育ったインドボダイジュというのは大変貴重で、きちんとした情報を残しておきたいと色々お問い合わせになりました。そこで前述の内容をお伝えしたところ、お返事を頂きました。
八重桜と僧侶web.jpg …今年の冬は寒さの特に厳しい日があったり雪が降ったりして、インドボダイジュが傷んだのではないかと気になり、武庫川や一心寺さんへ様子を見に行きました。幸い、多少の落葉はあるものの、心配した枝の枯れ込みもなく、健全な状態で冬を越したようで大変安心しました。
 いずれにせよ、この木は大阪で唯一、屋外で育っている貴重なインドボダイジュです。今後もたびたび見に行かせていただきますのでよろしくお願い致します。…。
 うれしいことです! ご配慮に感謝します。
 不順な天候にもかかわらず、冬を乗り切った境内のソメイヨシノもパッと咲いて春を満喫させてくれました。やがて葉桜になると、今度は本堂横の3本の牡丹桜が追いかけるように咲き誇り、境内東側の藤棚には藤が垂れ下がります。間もなく、春の大行事「平成25年納骨供養大法要」が執り行われます。
 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時
 http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

日曜学校のエンターテイメント        2014年4月号

1404一心寺04web1.jpg 一心寺の日曜学校は、毎年6月から明くる年の3月まで全10回の講座が設けられています。午前10時からの開講で、会場は三千佛堂です。前半に落語・パフォーマンス・演劇などの“エンターテインメント”を観賞。後半に “仏教法話”をお聞きいただきます。この組み合わせは大変に珍しいように思われますが、エンターテインメントで笑い楽しみ、気持ちもほぐれ、心も弾んだところで、マジメに法1404一心寺02web2.jpg話を聞くという流れが受けています。
 さて、そのエンターテイメントの中でも今回好評だったのが音楽演奏のジャンル。ドラム缶から作られた「スティールパン」、大小様々なドラム缶が、澄んだエネルギッシュな音を奏でます。「鞴」(ふいご)を使ったヨーロッパの伝統音楽。どこかバグパイプ風と思ったら、バグパイプも鞴の一種だそうです。

1404一心寺01web3.jpg 生徒の皆さんからは「テンションが上がり嬉しい」「音楽は楽しいと改めて実感しました」「音楽の力はすごい」「一緒に踊ったり、ジャンプしたくなりました」など“元気になるひととき”を体感する声を聞きます。
 日曜学校のエンターテインメントの特徴は、ただ聴いているだけではなく、生徒さんも自ら参加するという点です。8月の「ザ・メイキンウーピ―」による「ジャズオルガ1404一心寺03web4.jpgン」では、実際に演者と一緒にステージに立って、「キーボード」を担当。見事、アンサンブルに成功しました。
 「へー、そんないきなりステージに立つなんて度胸がありますね…」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、普通のステージのようで普通でない、なぜか不思議と舞台に上がるのが恥ずかしくない雰囲気が出来上がっていたりします。舞台に上がった仲間を見ている生徒さんも一緒になって応援します。本当に不思議とあったかい一体感が生まれます。
 とにかく生徒の皆さん自身が“楽しんでいる表情”が一番心に残る時間。おそらく、エンターテインメントの演者さんも、観客である生徒さんの喜ぶ姿を見て手応えを感じたのではないでしょうか。
 見ているだけでなく、“自分も楽しむ”ということで、すでにその場に参加している。“自分が楽しむ”ということが、実は“他人を楽しませる一番の近道”なのかも知れません。そんなことを気付かせて頂いた今期の日曜学校、来る3月30日、いよいよ修了式を迎えます。

(一心寺倶楽部 武田)

 ▽一心寺倶楽部事務局=電話06・6774・2500、午前9時~午後5時

http://www.isshinji.or.jp

ページの先頭へ

uemachi rogo.gif

『うえまち』について

PICK UP

DSC_0244.JPG
大坂の陣400年と大阪城 対談シリーズ
戦乱の世を生き抜いた女性演じる
(2016年6月号)


NEXT21外観写真(南正面).jpg
うえまち「一言自慢の景色」
NEXT21のある風景
(2016年6月号)


1605高速の下の漁港.JPG
うえまち漫遊
上町に向かう道 大和田街道4 
(2016年6月号)


IMG_9617.JPG
うえまち教室
学校探訪(20)
おおかみ学童クラブ
(2016年5月号)


うえまちインタビュー
1606柏木区長.jpg

中央区長
柏木陸照氏
(2016年6月号)


1606羽田さん1面候補2.jpg

2015年ミス愛染娘
羽田優里奈さん
(2016年6月号)


DSC_0117.JPG
一心寺広報

一心寺日曜学校開講!
(2016年6月号)


茶臼山史跡碑.jpg
夕陽丘まち談義
夕陽丘から上町台地へ(2)
(2015年7月号)最終回


1410こばやしさん.jpg
子育て応援企画
もっと力を抜いて 頑張らないで
(2014年10月号)


LINK





ページの先頭へ