上町台地 学びの現場
シリーズ⑤
小学校低学年・中学校受験専門 進学塾エフイーアイ
2014年6月号
特別編 京大プロジェクト 仮称
進学塾エフイーアイでは5月から「当たり前を超える知力を磨く」をコンセプトに、受験のための学習ではない特別授業「京大プロジェクト」をスタートさせる。
大学教授・工学博士・医師・小説家・アナウンサー・議員秘書・詩人・一級建築士・栢原塾長で構成される専門家集団が共通のコンセプトで様々な形式と内容の授業を交代で行う。 「考える力」「学び取る力」を育てる進学塾エフイーアイで、中高生を対象にした各分野の専門家による特別授業「京大プロジェクト(仮称)」がスタート。学校の勉強、受験対策は一般の塾でもできることとし、もっと深い能力を付けていくために実社会に使われている事柄と机の上での学習を結びつける授業を行う。
第1回目の授業「基本を学ぶ力学教室」は、大型船舶を安全に航行させる場合に関係する力学は材料力学、水力学、流体力学など10以上にもなるという話から始まる。船舶の設計・製造にはそのような知識が必要であることを知り、それが中学・高校の理科のある分野と通じることを知る。今学んでいることが実社会の何と通じているかを理解することは、子どもたちの希望や夢を実現する大きな力になるとしている。
「京大プロジェクト」の名は、単に京大を目指すクラスという意味ではなく、問題に対するアプローチ法が非常に豊かであることに由来している。予定された中から出題されるいわば「想定内」で試されるのが受験やテスト。これに対し、実社会にある「想定外」の壁を突破(ブレイクスルー)する「当たり前を超える知力を磨く」ことを目的としているのが最大の特徴だ。
授業は1回2時間。隔週で連続2回をゼミ形式で1人の講師が担当。力学、英語、文学、詩、ロボット、建築などをテーマに講義だけではない体験型の授業も実施される。対象は中1~高3。主なターゲットは中2~高1。学校の授業は十分できて物足りない、主体的に学びたいという意欲的な生徒が集まればと、講師陣も期待を寄せている。
▽進学塾エフイーアイ=天王寺区清水谷町17‐6、ウノショウビル1階、電話06・6764・4599
シリーズ④
マリ・バトンスクール 2014年4月号
地道な基礎の積み重ねが豊かな表現力の土台に
吹き抜けの天井、鏡張り・ガラス張りのレッスン室で、レオタード姿の小さな女の子がバトンをくるくると器用に回していた。昨年、設立40周年を迎えたマリ・バトンスクールは、大阪・京都・兵庫で教室を開く伝統校。全国でもトップレベルとされる大阪に拠点を置き、バトン愛好者の裾野を広げてきた。「バトンを通して子どもたちに『表現する喜び』を味わってほしい」と願う。
レギュラークラスの生徒 バトントワーリングは、1本の棒を自在に操り技や美しさを競う芸術性の高いスポーツだ。手に持ったバトンを回すだけでなく、高く投げてキャッチしたり、首や肩、腕の上を転がしたりするなど数百種類もの技があるという。同スクールで〝ユウ先生”と慕われている斉藤裕子先生は「華やかに見える演技には、バトン操作だけでなくバレエや体操、ダンスの要素も含まれています」と話す。
レッスンでは、どのクラスでも柔軟体操に始まりバレエの基本、リズム感を養うステップなどバトン技術以外の基本的な体づくりに時間を費やす。地道な基礎の積み重ねだが、体の動きを美しく見せること、自分の体を自由に動かせるようになることが、表現力を磨く土台になると考えている。指導する斉藤先生
アスリートクラスに通う小学5年生は「難しい大技が決まるのが楽しい」と話す。目標の技を一つ一つクリアしてきた自信が表情にみなぎる。子どもを通わせる母親は「先生方の指導は厳しいけれど温かい。そのおかげでバトンで培った集中力、粘り強さなどが日々の生活にも生かされている」と喜ぶ。斉藤先生は「一生懸命練習した分だけ必ず結果がついてくるのがバトン。人前で自分を表現する心地よさ、達成感を一度味わえば、より高みを目指したくなります」。
また、あいさつや返事、人との接し方といった礼儀作法の指導も大切にしている。外で発表する機会も多く「一人前のバトントワラーとして恥ずかしくない立ち居振る舞いを」との思いからだ。
たゆまぬ努力、礼儀、集団で育まれる協調性。1本のバトンから子どもたちは多くのことを学んでいく。
▽マリ・バトンスクール=天王寺区上本町9‐4‐5プレシオ四天王寺1階、電話06・6774・5066
シリーズ③
Early Birds 英語教室 2014年2月号
英語学習 まずは「日本語力」から
「これについてどう思う?」「えーそんなの考えたことないよ」
一見面接風の問いは、生徒に自分の考えを表現させるのが狙いだ。自分の意見を持っていない、語れない子が増えている。アーリーバーズ英語教室では、英語を学ぶ大前提として「英語力」の基盤となる「日本語力」の育成に力を入れている。英語の試験には自分の意見を述べたりする問題も少なくない。こうした場面に必要なのが、問いの意味を理解し、それに対して自分の意見を表現できる日本語の力だ。文章を読み解く力、作文など語学学習の基盤になると確信している。
「今の子は、小さいころかアットホームな雰囲気の教室ら意見を求められたことがないのでは」と話すのは嶋津先生。最初から正解を示され、自分で考える習慣がついていない子が多いように感じる。講師はまず「先生はこう思う」と見本を示す。そして生徒たちが自分なりに考え、拙いながらも意見を発信できるよう手助けをする。「思い込みといった『枠』を取り払い『なぜか』と考える力を養うことが大切」。トレーニングを重ねることで見違えるようになるという。
一度入塾すると、ほとんどの生徒が卒業までここで学び続ける。6年間通ううちにやがて、「この学部に進みたい」「こんな仕事がしたい」と希望を語り始める。そんな成長がうれしい。
どんな仕事も英語を避けては通れない時代がやってくる。しかし渡辺先生は「ごく初歩的なことが分かっていない。単語や構文をたくさん覚えているのに、前後の文脈からシチュエーションを読めない子が増えている。」と危惧する。成績が伸び悩んでいる人にとって、日本語力を養える同教室の存在は、一つのヒントになるかもしれない。
▽アーリーバーズ英語教室=中央区玉造2‐26‐47、大阪クリスチャンセンター(OCC)4階=電話06・6763・2741
- 成績が伸びる生徒の特長
①学習における自分の長所、短所が分かっている→自学自習につなげる。
②時事、文化、人物など新しいことにも興味を持って自分の世界を広げている。
③自分の思考、経験を言葉で説明できる。
④集中して1日10分学習する習慣が身に付いている。
左から
嶋津美紀先生、渡辺奈都代先生、
杉本薫先生
小学6年生の中学準備コースから中学生、高校生、大学生を教えるアーリーバーズ英語教室は、受験や資格取得(英検、TOEIC)も対応している少人数制のアットホームな教室。運営しているのは3人の女性講師だ。かつて3人が勤めていた英語教室が突然閉鎖。学び続けたいと集まった生徒たちを放っておけず、自分たちで教室を立ち上げたのは約15年前。「やればやるほど日本語力の大切さを痛感する」という。